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追跡調査

テレビ番組などで、天才的な記憶力を発揮する少年が話題になったりする。

視聴者はそれを見て驚き、感動し、身を乗り出す。そしてどのような子育てをしたらその天才的能力を発揮できるものなのかとの興味を持つ。さらに、その子が普通のサラリーマン家庭に育っている子だったりすると、ますます番組に引き込まれる。両親の学歴に特筆すべきものがなければ「なお良い」。

番組は天才少年の日常を追い、両親や兄弟との「普通」の生活を追い、幼児期の姿を写真やビデオで紹介したりもする。スタジオで少年の天才ぶりを披露することもあるだろうし、お馴染みのゲスト達の驚く表情や予想通りのコメントをちりばめることもあるだろう。

それはそれで良い。自分の子育てや、教育に参考になることも少なくはないだろう。

ただ、私は不思議に思う。
何故その子の追跡調査をした番組が作られないのだろう、と。

例えば、5歳で既にその天才性が際立っているからテレビに取り上げられたのだろう。ならば、2年後、5年後に天才少年がその天才性をどこまで開花させるかについては皆興味あるのではないか。もしかしたらこの国を、いや世界を救うくらいの逸材かもしれないではないか。
番組の最後には司会者が「〇〇クンは将来どこまで伸びるのでしょうか。5年後、10年後が楽しみです」と言っていたではないか。

だがどうも、私のように思う人は少数派のようなのだ。

というのは、そういう少年の追跡番組が企画されたことはあまりないからだ。私以外の大半の視聴者は、天才少年がその後どうなったかにはあまり興味がないと見える。興味ある人もいくらかはいるのかもしれないが、追跡番組を作らせるほどの力を持たないのだろう。それより何より、その少年が視聴者が期待したほどの「開花」をしなかったのかもしれないが。少なくとも番組として成立するほどのインパクトのある青年期を迎えていないのかもしれない。

以前、私がこの件を話題にしたときに、ある塾長に「追跡調査なんて全く必要ない。なぜ、そんな風に考えるのか」と一蹴されたことがある。そうなのかもしれない。それが大半の感覚なのかもしれない。

してみると、いったいあの「天才少年番組」は何だったのか、という疑問がわいてくる。

答えは勿論簡単。

そう、「天才少年番組」はあの時に完結していた、ということ。つまり、司会者の「今後が楽しみです」という言葉は少年の今後の開花ぶりを是非知りたいという意味ではなくて、今後が楽しみな少年が今ここに一人います、ということが言いたいだけだったということ。テレビ番組は、むこうから流れてくるのを楽しめればそれで「完結」しているのであって、そこから何かが「発展」してゆくような期待はあまり持たない方がよい、ということなのだろう。

私は、天才少年番組から何等かの教育的ヒントを得られるのではないかと思ってしまう。どうもそのような姿勢で番組を見ている人は業界人の中でも少ないようなのだ。番組は番組としてその時に楽しめれば良い、というものらしい。

身近な人から、テレビでやっていることをまだ本気で信じているのか、と呆れられたことがある。そうかもしれない。

追跡調査番組の方は「番組」として成立しないから作らない。いや、むしろ視聴者には昔のことは早く忘れて欲しい。新しい話題の方に興味を持って欲しい。そういうことなのかもしれない。

まだこんなことを考えている私です。

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プロフィール

齊藤塾塾長 齊藤茂

Author:齊藤塾塾長 齊藤茂
渋川高校卒業後、代々木ゼミナール(教務課)に3年半勤務。4年目の9月より浪人生活を送り、翌年4月に群馬大学教育学部に入学。卒業後、藤岡市、前橋市の大手進学塾にて前高、前女、高高、高女進学コース、附属中クラスなどを担当。平成9年に出身地の東吾妻町矢倉にて齊藤塾を開塾。以来トップ校受験生の指導にあたる。

【遠方の方も吾妻線を利用して、土日、祝日中心に通っている塾です。長時間の個別演習形式で鍛えて結果を出しています。入塾基準4.2以上。お気軽にお問い合わせください。】

【13年連続トップ高校に合格者を出している塾】

合格実績(2012年~2024年までの合計)前橋高校7名、前橋女子高校11名、高崎高校8名、高崎女子高校13名、群馬高専7名、渋川高校25名、渋川女子高校22名、高経附高校4名、前橋育英S4名(中学受験については初年度からの合計で中央中等8名、佐久長聖中9名それぞれ合格、大学受験については、千葉大、群馬大、埼玉大、茨城大、信州大、新潟大、静岡大、会津大、前工大、早稲田大、慶応大、上智大、理科大、津田塾大、東京女子大、中央大、明治大、法政大、立命館大、健大薬、成城大、東洋大、國學院大、獨協大等多数合格・詳細は下のホームページからどうぞ)

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