宿題論再考

宿題論再考。

宿題には「やってこない」という選択肢があるようだ。

塾仲間と話をしていると「宿題を出しても、生徒がなかなかやって来てくれないんだよ」という嘆きをよく聞く。塾のブログやホームページに、宿題を提出しない生徒に対しては厳しく対処する旨の記述をよく見かける。よくあるのは、宿題をやってこなかった生徒は教室に入れないというもの。あるいは、宿題をやったが家においてきたという言い訳をする生徒には家に電話させて家族に届けさせる、あるいは家まで取りに帰らせる。または、宿題を忘れた生徒は次の宿題が増えたりする。などなど。

一方、宿題をやってきた生徒は何らかのポイントがもらえるという塾もよく見かける。1年間全宿題提出の生徒は表彰される。塾内掲示で自分の棒グラフが伸びる。などなど。どうも、宿題を提出することで褒められる時代になったようだ。

宿題をやって来なかった生徒は授業後に残ってやらせる。宿題をやってからでないと帰宅できない、などの塾も多いようだ。これって、宿題をやってこないことを容認しているようなものだ。勿論、帰宅時刻が遅くなり、送迎担当の保護者は夜中に駐車場で長時間待たねばならないが、その苦痛を味わうのは保護者であって、生徒本人ではない。「今日は宿題の居残りがあるから、30分遅く迎えに来てね」でも良いし「宿題が終わったら電話するから、それから迎えに来てね」でもよいだろう。

宿題は一般的に授業内容の確認的要素が強い。だから、前回の授業の直後にやれば難なく解ける問題がほとんどだ。ところが、次回の通塾日に家を出る直前になんとか間に合わせる生徒も多いと聞く。まあ、そういうものでしょうね。前回通塾時の帰宅直後に塾の宿題をやれといっても、帰宅時刻は普通10時頃で、学校の宿題もあったりする。次の日は早朝から部活の朝練だろう。睡眠時間確保のため、まずは学校の宿題だけやって就寝するのが正しいだろう。次の日は次の日でやること満載だ。計画的に塾の宿題をする時間を確保できる生徒はそう多くはないはずだ。「いや、その時間を確保して自主的に勉強させ、学習の習慣をつけさせるところが弊塾のウリなんですよ」という塾も多いだろう。素晴らしいことだ。ただ、一般的には次回通塾時直前になんとか間に合わせる生徒も多いはずだ。内容的に記憶が曖昧になっている宿題と格闘することになる。それも家を出る直前の限られた時間で。

「時間がなかったので宿題ができませんでした」と堂々と言ってくる生徒もいるようだ。宿題って時間があるときにだけやればよくて、忙しい時には後回しにしてよいものだと捉えているようだ。

塾の宿題も含めた家庭学習が計画的に行えない生徒も多いようだ。そこで、最近は「画期的なシステム」を導入している塾もあると聞く。家庭学習の進捗状況を保護者へのメール等で確認するというもの。生徒が今どの問題をやっているかまでチェックできるシステムもあるようだ。進捗が悪いと担当の先生から励ましのメールが届く。なかなか進まないと徐々にメールの言葉は厳しくなっていったりして。そして、宿題が終わる間際には「もうちょっとで終わるようだね。頑張ったね。明日、先生は塾で待ってるからね、お休み」みたいな。

私が何を言いたいか、お分かりでしょう。

どうも、生徒には宿題をやらないという「選択肢」がある。
生徒が宿題をやらないという選択をした場合には、先生側はその先制攻撃に対して「対処(応戦)」しなくてはならない。

そもそもこの状況自体がおかしくないですか。

今日書いた内容、塾の宿題にまつわる話すべてに共通すること。それは、生徒の怠惰に対して大人が「対応」を迫られているということ。生徒のほうは「宿題やってこなかったよ」という先制パンチを大人に食わらせておいて「さあ、大人よ。君達はどう出るつもりだ。怒るのか、家に帰すのか、残してやらせるのか、さあさあどうする」という態度に出てきている。

これって変じゃあないですか。
プロフィール

齊藤塾塾長 齊藤茂

Author:齊藤塾塾長 齊藤茂
渋川高校卒業後、代々木ゼミナール(教務課)に3年半勤務。4年目の9月より浪人生活を送り、翌年4月に群馬大学教育学部に入学。卒業後、藤岡市、前橋市の大手進学塾にて前高、前女、高高、高女進学コース、附属中クラスなどを担当。平成9年に出身地の東吾妻町矢倉にて齊藤塾を開塾。以来トップ校受験生の指導にあたる。

齊藤塾合格実績・・・前高、前女、高高、高女、高専、渋高、渋女、高経附、佐久長聖中、中央中等、樹徳中、埼玉大、新潟大、群馬大、静岡大、高等工科他

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