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迷走前期試験

公立高校入試、前期試験の話。

ある県の高校入試。

この県では、全国的にみても早くに前期試験を導入した。上位校では総合問題と称する、各教科を横断するような気合いの入った前期試験入試問題を作成して話題となった。まさに「総合」問題。表やグラフから読み取れることを設問に従って、要約したり、自分の意見としてまとめたり、場合によっては計算力を駆使して見えてくる内容を読み解く。文章の一部には必ずと言ってよいくらいに英文が含まれており、短時間で英文の伝えんとすることを把握せねば解答が途中で止まってしまう。5教科全ての力をその必要に応じてフル活用する力が試される。特に上位校では「名作」を競い合った。

その結果、どうなったか。

前期試験は難しい、「ほんとうの実力」が試されるとばかりに塾は対策に追われた。勿論、予想問題などは簡単に作れるはずもない。が、作れないはずの予想問題で鍛えた。

確かに「実力のある」生徒を各校が獲得できた。上位校では「奪い合った」と言うのが正しい。高校入試は「高校側の」思惑で動く。各校とも優秀な生徒を早めに確保すべく、前期試験の枠を拡大し始めた。前期試験枠は最初上限が定員の5割だったものが、後に8割まで拡大されると各校とも上限いっぱいにその枠を拡大して優秀な生徒の確保に追われた。

その結果、どうなったか。

まず、中学校側から悲鳴が上がった。前期試験に失敗した「わずかの」生徒が人生を賭けて最後の追い込みを、目を吊り上げてやっているその横で、前期合格が決まった大多数の生徒は浮かれ、はしゃいでいた。残り2割の小さな枠に前期失敗組が集中するから倍率は高まり、泣く泣く志望校を下げる受験生も少なくなかった。

思い出多き中学校生活の最後は、何とも受け入れがたい天国と地獄の入り混じったものとなった。
部活ではともに助け合った友情は羨望と嫉妬と、そして優越感を押し殺した同情へと変わった。
中学生にこのような思いをさせてはならない、と大人達もやっと気づいた。

次には高校側からも、その問題作成に関わる教員からその負担の大きさを嘆く声があがってきていた。

その結果、どうなったか。

前期試験の廃止。前期後期試験の一本化。
なんてことはない。昔に戻したのだ。

迷走した前期試験。
振り回された子供達。関わった大人達の責任。許した私達の責任。

群馬県では前期試験に学力試験を導入することになった。
問題作成は教育委員会があたるとのこと。だから「迷走」県と同じには論じられないのかもしれない。

それはそうだが。

果たして、私達大人は「歴史から学ぶ」ことが出来るのだろうか。
「迷走」県の後を、数年遅れで追いかけただけに終わることにはならないだろうか。

私の予想では、群馬でも近い将来、前期後期試験は一本化される。前期学力試験はそれまでの過渡期的措置だと思っている。過渡期を挟みたい人達。

大学入試も大きく「改革」するようだ。迷走にならないことを祈る。世論は静かだ。
プロフィール

齊藤塾塾長 齊藤茂

Author:齊藤塾塾長 齊藤茂
渋川高校卒業後、代々木ゼミナール(教務課)に3年半勤務。4年目の9月より浪人生活を送り、翌年4月に群馬大学教育学部に入学。卒業後、藤岡市、前橋市の大手進学塾にて前高、前女、高高、高女進学コース、附属中クラスなどを担当。平成9年に出身地の東吾妻町矢倉にて齊藤塾を開塾。以来トップ校受験生の指導にあたる。

2019年合格実績
前橋高校1名、前橋女子高校1名、高崎高校2名、高崎女子高校2名、群馬高専2名、新潟大歯学部1名、中央中等1名(その他・過年度分は下のホームページからどうぞ)

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